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ケンズカフェ東京のガトーショコラはレシピを真似しても絶対失敗する

      2016/08/07

ケンズカフェ東京のガトーショコラはレシピを真似しても絶対失敗する

ケンズカフェ東京のガトーショコラというのが手土産にいいという話を聞いて買って食べてみたところ、これがどうして売れ続けるのかわかった。

これはブランディングとマーケティングとオープン戦略の勝利だ。

コスパが悪くても確実に売れる

ケンズカフェ東京のガトーショコラを食べて誰もが感じるところは、濃厚で美味しい、ということだが、実はこの味と量で3000円ということを考えた際に、コスパに見合っているのかというところだ。

価格でいうなら、少なく見積もっても市場の1.5倍はする。
一流どころのケーキ屋、菓子屋で買ったとしても、もう少しは安く買える。

普通は価格に見合った商品を買うはずなので、コスパが悪すぎるケンズカフェ東京では買わない。
多少味や食感が劣ったとしても、有名どころの店でもう少し安く買える。

有名店であれば、重要な人への手土産にも恥ずかしくない。

それでも確実にケンズカフェ東京の牙城は今後も崩れないし、ガトーショコラ業界でトップに君臨し続ける。

真似しようとしても真似できない品質

一度トップに上り詰めるというのはできたとしても、その後1位であり続けるというのは難しく、戦略が必要になる。

ここでケンズカフェ東京がとった戦略の上手いところは、品質でトップに躍り出た直後にブランド力を強化したという点にある。

仮に商品の品質が良くても、その名前が知られていなければ売れない。

逆に言うと、確実に品質の高い商品であれば誰にでも売れる。
認知度に比例してモノが売れるという流れになる。

現状ガトーショコラ界でトップに君臨したケンズカフェ東京は、そのガトーショコラのレシピをクックパッド等を介してネット上に公開している。

簡単に誰でも作れることを謳い文句にしている通り、そのレシピは非常に簡単である。
おかしづくりを生業にしている人のみならず、料理がそれほど得意でない人が見ても、誰もが作ってみようと思い始めそうなくらいにシンプルな作り方である。

そしてレシピに挑戦した人が100%失敗する。
ガトーショコラとしては成功したとしても、本物を食べた時の味や感動とは違う。
本物はこんな味なはずがない。
単純に考えて、お菓子の出来を左右するのは材料。
そしてレシピには、メインの材料であるチョコレートについて、「チョコレート (カカオ分70%)」とのシンプルな記載があるのみだが、このチョコレートにどれだけこだわるかがガトーショコラの出来を左右する。
そして、これほどおいしいガトーショコラを作るにあたって、ケンズカフェ東京のガトーショコラは一般人では入手できない貴重なチョコレートを使用しているはずである。

単純にその辺で誰もが買えるようなカカオ成分70%のチョコレートを使ったところでそれなりのガトーショコラしか作れるはずがなく、本物のケンズカフェ東京のガトーショコラを再現できるわけがない。

また、時おり料理教室なども開催されているらしい。
そこで学んだ客が自宅で再現を試みる。

そして再現を試みた人が100%真似できない。
本物はこんな味ではなかった。

さらにテレビや雑誌等のメディアを介してケンズカフェ東京を広告している。
1本3000円とは何事か。
そんなものは買えないし自分は東京に住んでいないので距離的にも遠い。
でもどうしても買ってみたい。
どれほど美味しいものなのか。

そうやって認知度が広まったところに、ファミマなどで「ケンズカフェ東京監修」などと銘打った商品が格安で販売される。

そして食べた人全員が思う。
確かに美味しい。
しかし本物はこんな味なはずはない。
よし、本物を買いに行こう。
やはり本物は美味しい。
もう一度食べたいけど値段が高いしそもそも家が遠い。

確か作り方がネット上にあったはずだ。よし作ってみよう。
だめだ失敗した。
やっぱり本物のケンズカフェ東京のガトーショコラには勝てない。

普通に考えて、あれほど濃厚で味わい深いお菓子を、ネット上に出回っているレシピで作れるはずがない。
そんな簡単に作れたら1本3000円という高価格で売るというビジネスが成立するはずがない。

しかし誰もが自分はできると挑戦する。
そして失敗する。
したがって、ケンズカフェ東京のガトーショコラは神ショコラだと神格化される。
誰にも作れないお菓子はお持たせに最適である。

この循環でますますケンズカフェ東京のガトーショコラは売れ続ける。

パイを増やしながら独り勝ちする

つまり、ケンズカフェ東京の上手いところは、本来は一握りの勝ち組だけが食べられる品質の商品を、一般庶民層に手の届くような錯覚を与えて顧客層のパイを広げているところにある。

ガトーショコラといえばケンズカフェ東京、という認識が多くの人に広まって定着する。

仮に、このレシピを見てケンズカフェ東京のガトーショコラと同様のものを作れる人が出現したとする。

しかしそこから同じ品質のガトーショコラを出す店が出てきたとしても、「ケンズカフェ東京の二番煎じ」と呼ばれるだけで、さらにケンズカフェ東京の地位は高まる。

彼に誰かがケンズカフェ東京のガトーショコラを全く同じように作れるようになったとする。

そしたらケンズカフェ東京のガトーショコラをその人はもう自分で作れるから本物を買わなくなるかというとそうではない。
味を確かめるためにまた本物を買う。

さらにその人が「あのケンズカフェ東京のガトーショコラを自分で作ってみたのよ」とお友達に振る舞う。
そうすると、そのお友達は「おいしい」と感激しながらも、再度この手作りガトーショコラと本物の味とを比較するために「もう一度本物を買って食べてみよう」となる。

あるいは、ふるまわれたお友達が「ケンズカフェ東京」なるものを知らなかった場合。
「ああそんな有名店があるんだ。それは一度チェックしてみないとなあ」と思って、やはりお店に買いに行く。

みんながケンズカフェ東京のガトーショコラを作ろうとすればするほど、「ケンズカフェ東京」というタイトルが広く知れ渡っていき、皆の頭には「ガトーショコラといえばケンズカフェ東京」という認識が刷り込まれていく。

そしてケンズカフェ東京がますます神格化されていくのである。

あるいは全く別のコンセプトで高品質なガトーショコラを出す一流店が現れたとする。
ガトーショコラ業界のケンズカフェ東京の牙城を崩してやろうという野心家である。

しかしすでにケンズカフェ東京がすごいという認識が定着してしまったガトーショコラ業界においては、後発のガトーショコラはいつまでも人気を集めることができないという状況が続き、やがて心折れる。

結局手土産には安定感があって誰もが知っているケンズカフェ東京が選ばれることになる。

最強ケンズカフェ東京の地位がますます強固になっていく。

ケンズカフェ東京はオープン戦略を使っている

これはお菓子業界のオープン戦略といえる。

飲食業では、普通はその肝である料理の作り方はクローズにする。

どうやってあの味を出すのか、という点については常に世間に知られないように隠すことにより、「その店でしか食べられない味」という武器に客を呼び寄せる。

しかしケンズカフェ東京はこれを完全にオープンにする。
上記の高級なチョコレートの入手先もオープンにしているし、作り方も公開してしまっている。
こうすれば多くの人にケンズカフェ東京の名前とともにガトーショコラという商品についての知識を広めている。
ガトーショコラそのものの業界のパイを広げている。

それでも誰にも真似できない高品質な商品であるため、パイの広まった業界内での首位をキープし続ける。
ガトーショコラの周知度の伸び率がそのままケンズカフェ東京の周知度の伸び率のグラフに相当するものとなる。

これは自社の商品に絶対的な自信がないと取れない戦略であり、また確かに誰の目から見てもケンズカフェ東京のガトーショコラは最高級品質である。

すごすぎる。

ケンズカフェ東京へのアクセスまでも戦略化されている

さて、そうやってお友達から手土産をもらったり手作りしてもらったりして「ケンズカフェ東京っていうお店に実際に行ってみようかしら」と思った場合に店舗でガトーショコラを買うまでの道順について書く。

ケンズカフェ東京は新宿御苑前駅2番出口からが近い

まずは東京メトロ丸ノ内線新宿御苑前駅2番出口から出る。
その途中、いくつかケンズカフェ東京の看板がある。

この美味しそうで高級感のあるガトーショコラがでかでかと写っている看板。

もはや新宿御苑前といえばケンズカフェ東京でしょう、という雰囲気。
ここで降りておいてケンズカフェ東京に行かないとかありえないんじゃないかというような心理的な後押しも相まって、もはやケンズカフェ東京に行かないという選択肢はなくなる。

ところでこのガトーショコラの特徴的な形について誰か「なんでこの形なんだろう」と思わないのだろうか。
猫のようで可愛い点も購入の後押しになっているような気がするのだけど、まあどうでもいいのか。

三菱東京UFJ銀行を左折

2番出口を出て左へ行くと、三菱東京UFJ銀行がある。
さて、もう心理的には引き返せない状況にあるところ、よく考えてみてほしい。

3000円だ。

3000円なんていう大金が今のあなたの財布に入っているだろうか。

でも大丈夫。ここで現金をおろせるし、クレジットカードでキャッシングしても良い。
お金を理由に購入を諦められなくなるという点で戦略を感じる。

まあケンズカフェ東京はクレジットカードも受け付けているので、別にお金を引き出しておく必要はないけど。

花園公園を右折

そして道をまっすぐ進むと花園公園にぶつかる。
ちょうど鳩が置物のように座っているところが目印だ。
非常にわかりやすい目印。戦略を感じる。
ここから右折すれば良い。

なお、今の時間帯は、社畜が一生懸命働いているであろうお昼の時間帯である。
平日真っ昼間からふらふら公園に行って鳩と戯れるという負け組感と、3000円もするガトーショコラを惜しげもなく買うという勝ち組感が相まって、自分が何者なのかわからなくなってくる。

ケンズカフェ東京の店舗

何かただならぬおしゃれ感のある店が見えてくる。
もしやこれがあのケンズカフェ東京の店舗ではないか、という期待感が高まる。
戦略を感じる。

ケンズカフェ東京の店舗

やはりそうだった。
あの噂に名高いケンズカフェ東京の前に今じぶんがいるという高揚感で、まるで何か自分が遠くに来てしまったというような成し遂げ感がある。
戦略を感じる。

ケンズカフェ東京の外観

綺麗に整った外観。
戦略を感じる。

ここで店に入ると、店内広いので何かいろいろ売っているのではないかと思うのだけど、何もショーウインドウとか無い。

何が言いたいかというと、普通のお菓子屋であれば、看板メニューに加えて、やれクッキーだのギモーブだのジャムだのというようなどうでもいい焼き菓子が所狭しと手頃な値段で並んでいたりする。

そう言った愚かなお菓子屋からは、目的のものを購入する待ち時間に客の目につくように置いておき、ついでにそう言った些細なものを買わせようというような浅はかで姑息な商業意識を感じる。

しかしケンズカフェ東京は潔い。

店内広いのに何もない。
ガトーショコラ1本勝負だ。
店内には、予約されて客が買いに来るであろうガトーショコラたちがひしめきあっているのみだ。
「うわあ、これだけ人気があるガトーショコラだったのか。買いに来てよかった」という満足感が得られる。
戦略を感じる。

なお、焼きたてを買うことになるので、お帰りの際はガトーショコラを傾けたりしないようにという注意を受けた。
そんなに高級で繊細なガトーショコラがこの世にあったのか、これは幻のガトーショコラではないか、という感銘を受けて、自分はレアアイテムをゲットする偉業を成し遂げたのだという達成感を得られる。
戦略を感じる。

花園公園の鳩

鳩が増えている。
購入した客を祝福に来てくれているのだ。
最後まで客をお見送りするホスティタビリティにより、客は満足感を覚え、また買いに来る。
戦略を感じる。

ケンズカフェ東京の袋

ケンズカフェ東京の箱

高級感のあるバッグと箱に、自分は社会で成し遂げた人間なんだというような感動を覚える。
戦略を感じる。

そして味は最高でした。

自分はとうとうあのケンズカフェ東京のガトーショコラを食べられるまでに成功したのだ!

半分無職だけど。

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ケンズカフェ東京(KEN'S CAFE TOKYO)
住所:〒160-0022 東京都新宿区新宿1-23-3 御苑コーポビアネーズ1F
電話番号:03-3354-6206
営業時間:10:00~20:00
営業日:月曜日〜金曜日(土日祝日は定休日)

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