始発電車で隣の席のおっさんがお姉さんに足踏まれて喧嘩をふっかけた
始発の東京メトロ地下鉄丸ノ内線で通勤していたところ、隣に座っていた50歳代くらいのサラリーマンがお姉さんに喧嘩をふっかけたところ、お姉さんが一枚上手だったことをありのままに書く。
足を踏んでしまって謝ったのに許されない
私は丸ノ内線2号車両の真ん中くらいの座席に座っていた。
始発電車なので空席は多い。
私のすぐ左隣に男性が座っていた。
最初は顔はよくわからなかったが、あとで確認したところ50歳代くらいのサラリーマンだった。
私はスマホのラジコでTBSラジオの生島ヒロシのやつを聴きながら読書をしていた。
すると、隣のおっさんが「いてぇ!」という大きな声を出したことに気づいた。
イヤホンでラジオを聴いていてもそれなりに声が聞こえた。
始発の静かな電車で声を発する人など普段は全くいないので、一瞬「何が起こったのだ?」とは思った。
すると若い女性の声で「ごめんなさい!」と謝る声が聞こえた。
視界の隅っこに、女性がおっさんの前に立っているのが見て取れた。
ああ、なるほど。女性が歩いていたところ、間違って私の隣に座っているおっさんの足を踏んでしまったのだろうなと思う。
しかし、とっさにそうやって誠意を込めてはっきりを謝っているあたり、女性はとても良い人なんだなと感心した。
それでことは終わるかと思いきや、またおっさんの声が聞こえた。
何を言っているのかは聞き取れなかったが、何がぶつくさ文句を言っているような感じだった。
私はちらりと左隣の方がみるともなしにチラ見した。
私の左隣におっさん。そのさらに左隣に女性が座っていた。
どうやら、さっき足を踏んでしまった女性は、おっさんの隣に座ったらしい。
若い女性は「すみませんでした」と再び言う。
女性の声はハキハキしていたのでしっかりと聞き取れた。
それに対しておっさんはまた何かぶつくさ言っていた。
おっさんの声がややくぐもっていて聞き取りにくかった。
そして女性は「だからさっき謝ったじゃないですか」と言った。
どうもおっさんは女性に対してぶつくさ文句を言っているらしい。
よほど足の踏まれ方がひどかったのだろうか。
たかが足を踏まれたくらいで何をごねているのか。
昨今の老害はよくキレる。
私はやや耳をすませてその会話を聞いた。
おっさん「謝り方を知らない女だな」
「女」と呼び捨てる言い方に、もはやセクハラのようなパワハラのような差別的な言いっぷりを感じた。
ひどいジジイだ。
女性は「どうすれば良いんですか。何度も誤っているじゃないですか」
女性はどうにかことなきを得ようとする。
その後いろいろ言い合いが続いていた。
私のすぐ隣で。
電車で喧嘩を売られた際の対処として、会話を録音することが有効
これは私は助けに入るべきだろうか。
おっさんの肩を叩いて、「もう謝っているんだからいいじゃないですか。何を朝から怒っているんですか」と止めに入れば、私は女性から感謝されてモテモテになれるに違いない。
しかしながら、それをするとおっさんの怒りをさらに増長させるに違いなく、確実に私はぶん殴られる。
とはいえ、どうにかしないと女性がかわいそうである。
こう言う喧嘩は、やはり大きな権力によって裁定してもらった方が良いかもしれない。
もしもその後喧嘩が白熱しそうなら、私は緊急停止ボタンでも押してスタッフを呼ぼう。それが良い。
しかし私緊急停止ボタンを押したことがないので、押せるだけの度胸がない。困った。
このままでは女性がひどい目に合わされるに違いない。
ところが形成は逆転した。
女性「じゃあ次の駅で一緒におりましょう。警察を呼びますから」
それに対しておっさんはごにょごにょ反論しているが、先ほどのような勢いがない。
流石に本当に警察を呼ぶとは思えないが、牽制として効いているようである。
さらに女性は続けた。
女性「会話を録音して良いですか。今から録音します」
女性はスマホを取り出した。
おっさんも引き下がるわけには行かず、「どうぞ勝手にしろ」と言った。
声の勢いが下がっている。
なるほど、こう言う状況証拠として、会話を録音するというのは一定の効力があるようだ。
その後会話は10秒ほどなくなった。
どうやら喧嘩は終わったかのように見えた。
しかし今度は女性が強気に続けた。
女性「あれ〜どうしたのかしら。手が震えてますよあなた。会話を録音されることがわかって自分が不利になると自覚してるからでしょうね」
随分朝からテンションの高い女性である。
おっさんも負けない。
おっさん「お酒が切れちゃってねえ。アル中なもんで」
返しとしては随分下手だし、前時代的な発想ではあるが、即座に言葉が出てくるあたり、さすがパワハラおっさんである。
女性「アル中なんですか? アル中と自分で認めているんですか? それはますます警察に行き難いですよねえ!」
おっさんが喧嘩を仕掛けたのではなく、女性が喧嘩を仕掛けたのではないか
その後全く会話がなくなった。
私は途中で降りる際、二人の顔を見た。
おっさんは50歳代のスーツを着たサラリーマンで、多分あんな言葉遣いをするあたり、会社でも嫌われているに違いない老害だろう。
女性は20歳代で若く、パーマをかけて切れ長の目をしており、デザイナーだかIT系だかとても今風だった。
早朝から私は古き時代の老害と新興勢力との対決を垣間見た。
ところで、始発なので空席はたくさんあったのに、なぜ女性はあえてわざわざおっさんの隣に座ったのだろうか。
普通であれば、たかが足を踏まれたくらいでセクハラまがいのことを言ってくるような精神のねじ曲がったおっさんの近くには近づきたく無いものだが、女性はあえておっさんの隣に座った。
そういえば、電車内での喧嘩という緊張状態の最中にもかかわらず、会話の初期段階で「警察を呼ぶ」とか「会話を録音する」という言葉がポンポンと出てくるあたり、だいぶ手慣れた女性だったような気がする。
ということはあれか。
私、最初は女性が被害者だと思っていたが、実は単にその女性が好戦的なだけであって、とりあえずおっさんの足をわざと踏んで喧嘩をふっかけただけだったのか。
そうすると恐ろしい。
明らかに第三者から見て、女性が被害者のような構図にしておきながら老害を嵌める。
普通に見える女性が実はハメ屋だったとしたら怖い。
これは世の中の老害男性諸君は電車内での言動や行動に一層の注意を向けるべきだろう。
年寄りのおっさんは会社内では地位は高いかもしれず、若造に対して無双状態かもしれないが、こと公共交通機関においては、たった一人の若い女性ほど強いものはいない。
電車内でブチ切れるおっさんはそのことを自覚して、ひっそりとしおとなしくしておいた方が身のためだと思われる。