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不動産広告・チラシで見る杉並区の上質で贅沢な富裕層的生活と雰囲気

   

ここ1ヶ月間、投函されてくる不動産のチラシを集めていたら、杉並区がどういう街であるかが判明した。

以下では、各々のチラシから把握できる住環境を元に、杉並区がどのような街であるかを散策していきたい。

なお、以下で紹介する不動産広告は、我々が自ら取りに行くプル型のものは採用せず、家庭のポストに投函されてきたプッシュ型のもののみを採用した。

プッシュ型のものであればあるほどやる気に満ち溢れており、チラシの文体も、その街の状況を詳細に熱く語っている可能性が高いからだ。

一方、電柱等の挟まれているのみの不動産チラシは、販売予定の不動産の情報だけを無機質に語っているケースが多く、街の雰囲気を把握する上での参考資料にはなりにくい。

ブライズ方南町

ブライズ方南町

まず、得られた不動産広告のうち、最も東側、つまり都心側に位置するエリアから見ていくことにする。

このほとんど中野区側のエリアの住環境を勉強する上で、「ブライズ方南町」のチラシは我々に貴重な情報を提供してくれる優秀な資料だ。

ダメな不動産広告は、その物件自体の情報しか提供しない。

しかし、優秀な不動産チラシは、街の雰囲気や住みやすさについての情報を詳細に記載する。

方南町を含め、この東側のエリアは「都心に近い」ことがステータスになっていることが、このチラシから読み取れる。

あるいは、都心に対するコンプレックスを抱いている可能性もある。

求めたのは都心隣接の日常。

「都心隣接」。

非常にわかりにくい表現だが、「隣接」ということは、都心に対して接触している、ということを意味し、都心に隣接しているということは、都会のうちの中心部ではないにしても「都会」であることには変わりない。

したがって、「都会の日常」と表現しても全く嘘ではないし、その方がわかりやすかった。

しかし「都会」というワードは、受け取り手に応じて様々な範囲を含みうる。

例えば23区ではない地域からすれば23区全体が都会のようにも捉えられる。

一方で、港区等の真の都心からすれば、杉並区など全く都会ではない。

しかし「都心」であれば、例えば山手線の内側等、誰にとっても明確な範囲が特定できるわけであり、しかも「都心」に住むことは誰の目から見ても勝ち組であることが明らかなのである。

したがって、「都心」というキーワードを使うことで、ブライズ方南町は勝ち組のマンションであり、方南町に住むことは一種のステータスであることを示したかったと言える。

「新宿」駅9分 「赤坂見附」駅19分

方南町まで8分であることと略同列に、新宿や赤坂見附といった都心までも近いことをアピールしている。

やはり都心と近いことのプライドとともに、都心に対する憧れ、コンプレックスが見えないこともない。

ブライズ方南町

アーバンライフをサポートする生活利便施設が身近に充実。

これをミスリーディングしてはならない。

「アーバンライフ」ではなく、あくまでも「アーバンライフをサポートする」場所であると読みとらなければならない。

都心で働くことが「アーバンライフ」であるとすれば、方南町に住むことはそれを「サポート」することでしかない。

具体的にフィーチャーされているその「施設」が、「サミットストア妙法寺前店」、「マツモトキヨシ方南町店」、「セブンイレブン杉並堀内2丁目店」であり、都会らしさがない。
決してアーバンではなく、どちらかといえばruralである気がしなくもない。
しかし、田舎感、下町感は彼らにとってはプラス要素ではなく、あくまでも「アーバンライフ」を補助してくれる要素、つまり都会暮らしの一環であることに話を持っていきたいのである。

ブライズ方南町

始発駅「方南町」から多彩につながる各都心拠点。

これは秀逸な図面だ。

「都心」というキーワードを何度も使っておいて、図面上の中央に「新宿」を置く。

その新宿を中心とした円上に「方南町」を配置することで、新宿があたかも都心の中心であり、その「都心」が示す範囲内のギリギリの縁に方南町が隣接している、との印象を与える。

もはやこの円内に位置していない恵比寿や池袋などよりもより一層、中心の「新宿」に近い。

これが「都心隣接の日常」というわけだ。

ブライズ方南町

緑量の多い開放感あふれる眺望。

都心に隣接していながら緑が多い低層階が広がる。

この景色はまるで地方だ。

都心隣接であり、都会でありながら、地方色が強い。

しかし、この写真のサイズが小さく、申し訳程度にしか掲載されていないことから鑑みるに、できれば地方感は出したくない。

自然派よりも都会派で痛い。

もう少し頑張れはすぐそこに都心がある。

普通の地方とは違う。我々は、手を伸ばせばすぐ都心に接触できる。

そういったプライド、あるいはコンプレックスが見え隠れしなくもない。

そして都心に近いことがメリットである一方、この街それ自体にあるべきアイデンティティのようなものが特段読み取れない点に悲しさを覚える。

三井不動産レジデンシャル パークホームズ杉並善福寺川緑地

三井不動産レジデンシャル パークホームズ杉並善福寺川緑地

方南町の上記マンションからは、緑量の多い開放感あふれる眺望が得られたが、その緑量の多くを提供していると思われる善福寺川緑地に目を転じてみる。

方南町よりも西側のエリアだ。

杉並区全体で言えば、中央よりもやや南東に位置する地域である。

この辺りの街が誇りに考えている特徴を把握する上で、「三井不動産レジデンシャル パークホームズ杉並善福寺川緑地」の不動産チラシは、貴重な参考資料となる。

上記画像に大きく印刷されている以下のメッセージが、この街を端的に表現している。

約44万㎡の広大な善福寺川緑地へ徒歩1分×三井不動産レジデンシャルが贈る、杉並の大自然に抱かれた低層レジデンス

中野区側に住むメリットが、その街自体の魅力よりも都心に近いことを売りにしていた一方で、このあたりまでくると、都心に近いことよりも、その街の魅力をアピールする傾向が出始めるようだ。

その魅力とは、大自然に抱かれること、及び低層の街並みである。

次の文章が秀逸である。

三井不動産レジデンシャル パークホームズ杉並善福寺川緑地

ぼくたちの住んでいるこのお家から、歩いてすぐのところに「善福寺川緑地」という公園があります。ここはとても広くて緑がいっぱいで、ママがよく遊びに連れていってくれます。それに周りは高いて建物も少ないから、お空が広くてとっても気持ちいいんです。

都心側がバンバン高層ビルを建てまくって、まるで高い建物ほど素晴らしいとの信念があるかのように思える一方、この阿佐ヶ谷と永福町の中央部分に位置するエリアでは、低層のビルほど素晴らしく、そして自然が多いほど最高だという考えがあるようだ。

低層の建築物と自然が多い。

これはまるで東京のイメージとはかけ離れたものであり、世間的にこの地域が「杉並のチベット」と言われる所以であると思われる。

三井不動産レジデンシャル パークホームズ杉並善福寺川緑地

遊ぶ、安らぐ、元気になる。大きな公園のある暮らしは、こんなにもステキです。

都心である渋谷にも新宿にも電車で10分程度で行くことができ、なんなら自転車でも行ける距離なので、もっと都心側との近さをアピールしてもいいものだが、もはやそんなことはどうでもいい。

この街にはこの街自体の魅力がある。都心側のことなど知ったことか。といった誇りを感じる。

杉並事項交通公園ではゴーカートに乗れるし、大自然の中で愛犬とお散歩ができるし、森の中の釣り堀で大漁を目指せるし、すぎないmく唯一のバーベキュー広場でアウトドアパーティができるし、芝生の広場で遊べるし、川沿いでお花見もジョギングもサイクリングも可能。

ふんだんに自然と戯れることのメリットを打ち出すこの地域にはもはや東京23区のイメージが全くなく、どこかの里山のような話をされているかのようである。

これが杉並のチベットの素晴らしさであり、「大自然に抱かれる」ということであろう。

野村不動産 プラウドシーズン久我山

野村不動産 プラウドシーズン久我山

さらに西に向かい、杉並区の南西、三鷹市との境あたりの久我山に話を移す。

このあたりを研究する上で、野村不動産のプラウドシーズン久我山のチラシは、貴重な情報源として活用される。

久我山近辺に来ると、ゆとりと快適さが得られることがわかる。

野村不動産 プラウドシーズン久我山

風格もありながら賑わいもある久我山生活

久我山のあたりは富裕層、お金持ちが多いと聞くが、やはり彼ら勝ち組のゆとりのある雰囲気がそのまま街に見て取れるようだ。
ここには風格も賑わいもある。

具体的には、あの「ピーコックストア」といった、勝ち組の街にのみ見られるようなスーパーがあり、風格と賑わいを提供する。

一方で、「オーケー」といった比較的低価格の風格と賑わいもある点には、富裕層だけでなく、庶民もこの街に住んで構わないよ、というような、勝ち組の心のゆとり、器の大きさ、心の広さのような風格と賑わいを感じる。

野村不動産 プラウドシーズン久我山

都内屈指の人気スポット吉祥寺生活

彼らの風格は、もはや都心に憧れるといったような庶民のやりがちなこととは真反対の方向に進み、吉祥寺側へと興味を巡らせる。

大衆の逆を向くことで、他者との差をつけ、勝ち組にのし上がる。

成功のヒントがこの街の雰囲気に隠れている。

コージーコート阿佐ヶ谷

コージーコート阿佐ヶ谷

上記では、杉並区の地図で言うところの下側の方に注目して来たが、ここで久我山から地図上で上に移動して阿佐ヶ谷に目を転じる。

地図上で上側に位置するだけでなく、生活もワンランク上な感じになる雰囲気が感じられることが、このコージーコート阿佐ヶ谷のチラシから感じられる。

コージーコート阿佐ヶ谷

杉並区「阿佐ヶ谷」駅最寄りで手に入るワンランク上の贅沢な暮らし。

具体的にどのあたりがワンランク上かと考えるに、やはりこの写真が示す通りの「眺望」である気がする。

現地8階からでこの眺めだ。

図面で表すとこのようになる。

コージーコート阿佐ヶ谷

第一種低層住居専用地域に隣接した、杉並らしい永住環境に寄り添うポジション

なかなかの不動産ポエムだが、この低層ぶりこそが「杉並らしさ」であることがやはり明確に見て取れる。

Sunshineが満遍なく降り注ぎ、日照権の侵害とかそういったものを一切感じさせないこの低層住宅の充実ぶり。

きっとマンションの8階という「貴席」からの眺め、その「伸びやかなロケーション」は、勝ち組そのものであろうことは想像に難くない。

コージーコート阿佐ヶ谷

この低層住宅からくる「美しき街並み」、「空の景観」は杉並らしさであり、これを手に入れることこそが杉並区民にとっての成功の証であると言うことだろうか。

してみれば、もはや都心に近いとか吉祥寺に近いとかそういった低次元のことはもうどうだっていい。

「美しき街並み」そのものと「空の景観」があれば、もうそれでいい。

この心の広大さ。この域に到達するのにはあとどれくらい徳を積めば良いのだろうか。

不動産価格は高め

なお、どのチラシを見ても不動産の物件価格は高めであった。

5000万円越えは当たり前で、1億円に手が届きそうな物件のチラシまで入って来る。

やはりこの地域は富裕層が多いのだと感じたし、都心に近いことも大自然に抱かれることも風格と賑わいを手にすることも空の景観を入手することも、世間的には価値があるとみなされている証なのであり、多様な価値観の多くを取り込んでしかも上質なものに高めているこの杉並区というのは凄まじいと感じた。

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