[書評]夢の猫本屋ができるまでCat's Meow Books(井上理津子)の感想
以前25歳の高齢猫の健康状態、食事・トイレ等の能力、認知症の病気に書いたように、私は25歳になる猫を飼っていた(結局25歳で死んでしまったが)ほどの猫好きなので、猫に関することが記述されたと思しきこの「夢の猫本屋ができるまでCat's Meow Books(集英社・価格1400円)」なる本を読んでみた。
その感想を書いてみたい。
なお、本の感想とか書評とかいうのは、普通は本文を引用して色々論じると思うのだが、以下ではそういうことはしない。面倒臭いからである。
読んでいる最中に自分の中に強烈に印象に残ったこととか思ったこととかをただ羅列して行きたい。
西太子堂駅近隣で本屋を成功させるとかすごい
以前東急世田谷線は運賃安いし車両綺麗で踏切・電車好きの子供におすすめというものを書いたが、このキャッツミャウブックスの最寄駅はこの世田谷線の西太子堂駅らしい。
電車からの風景を眺めていれば分かるが、よくこの沿線で本屋を開業して黒字に持っていけるなと思うのが率直な感想である。
三軒茶屋駅近くはものすごい栄えているし大通りも賑わっているのだが、多分西太子堂はお店とかほとんどなくて住宅街。
しかも世田谷線という時点でかなりのマイナー路線であって、こんな場所で斜陽産業の書店を開業して成功させるとか不可能なんじゃないかと思うのが普通である。
店長の安村正也さんという人は会社員としても外資系企業で活躍していたり転職を何度も成功させているような感じで、マーケティング等に関してもビジネスセンスが非常に高いような人なので、普通に考えたらこの場所に開業するのはあり得ないとは思うのだが、逆にそこに活路を見出して結果を出してしまっている感じ、もはや類稀なる実力だと感じた。
安村正也さんという人の経歴について
で、本の中で具体的な会社名とか出てこないのでよくわからないのだが、なんとなく、この安村正也さんという人は年収の高そうな企業の重要ポジションにいる人っぽい。
それでいてビブリオバトルで伝説になるくらいに強い人であって読書家というのが凄まじいと感じた。
もちろんビブリオバトルはプレゼンテーションのうまさを競い合う競技なので、ビジネス力の高さとビブリオバトルの強さとは相関があるとは思うのだが、ビブリオバトルの場合、まず面白い本を発掘するという作業が必要になってくる点が難しい。
エリートビジネスパーソンだと、仕事が忙しすぎて本をたくさん読んで面白い本をピックアップするという作業に割ける時間がないと思うのだが、安村氏はかなりの読書量だそうだ。
仕事もパソコン作業が多いらしいので、仕事でも目が疲れて趣味でも目が疲れて、使う頭の能力も仕事とビブリオバトルとで似たような感じがするので、疲労に疲労を重ねるような作業だと思うのだが、それらを難なくこなしている感じが凄まじい。
氏の類稀なる体力と精神力を感じた。
クラウドファンディングで数百万円集めるとかすごい
昨今流行りのクラウドファンディングであるが、これで氏は開業資金数百万円集めているそうである。
エリートビジネスパーソンなので、貯金もたくさんあっただろうが、あえてクラウドファンディングを選んでいる感覚である。
で、やはり普通の人がクラウドファンディングをやっても、信用力や知名度が低くて数百万円も集められないと思うし、世の中猫ビジネスは溢れかえっていると思うので、あえてこの人の猫ビジネスのために寄付するような人はいなさそうな気がするのだが、予想を超えた金額が集まったらしい。
ビジネスでも趣味でも資金集めでも成功させてしまうとは、やはり安村さんという人は只者ではない。
そして、どうも保護猫に関する世間の注目度は高いということを初めて知った。
氏に限らず、クラウドファンディングで、数百万円どころか一千万円以上(1400万円くらいだっけかな。読み返してないので忘れた)集めた事例もあるらしく、世の中、働いて稼いだり金融市場への投資で稼いだりする以外にも、無一文でもアイデアや行動力、熱意等の要素によってお金を集められるようになってきているんだなということを率直に感じたのである。
類稀なる凄まじい世の中である。
この本を読んで抱いた感想はそんな感じ。