苦手なグループディスカッションを得意にして受かる超越的対策とコツ
2017/04/08
新卒採用の就職面接において、例えば外資系コンサルティング会社等の一流企業を受験しようとする場合、グループディスカッション、通称グルディスを避けることはできない。
しかしながら、このグルディスでは、面接官が何を見てるのか、その採用基準が不明なことが多い。
グルディスのテーマも、時事問題等からその場で通知されてその場で議論を展開しなければならないし、初対面同士の議論なので、事前に打ち合わせなどもできない。
まして、練習に練習を重ねたとしても、その場にいる他の受験生がうざいやつだったり空気読めないやつだったりすると、議論が発散したまま終了となり、同じチームの全員が不合格ということもある。
多分に運の要素が強く、対策しようにも、明確な対策方法がないのである。
何をしゃべればいいのか、流れを邪魔しない発言のタイミングはどのようなものか、しゃべりすぎると逆効果なのか。
あらゆる迷い、不安が頭に到来する。
したがって、誰もがグルディスを恐れ、緊張のあまり自分を出せないパターンが多かった。
入りたかった企業の採用過程にグルディスがあるという理由で、グループディスカッションの無い企業を受けようとする人も多かった。
しかしそれではせっかくのチャンスを無駄にすることになってしまう。
そこで、以下では、必ず自分を出せるような思考法と、合格への道筋を指南したい。
Contents
周りがうざいやつであっても自分だけ受かる可能性もある
ところで、グルディスのような集団面接だと、チームワークが重要と考えられて、その場にいる全員が合格するか、全員が不合格になるかの2択になると思い込んでいる人が多いし、そういう噂もまことしやかに囁かれる。
あれは嘘だ。
現に私が受験したある日系企業のシステム系コンサルティング会社では、5人で受験して終始和やかなムードだったものの、4人が落ちて1人だけが通過したということもあった。
したがって、議論の結果がどうなろうとも、その中から面接官は光る人材を個別に抽出して見ている。
チームワークばかりを気にして、「周りがすごいから自分は黒子役に徹し、良い結論が制限時間内に収束できるようにサポートしよう。別に私は目立たなくても、そうやって黒子役に徹していることを面接官は見てくれているだろうし、チームが成功すれば私も一緒に合格できるはずだ」などとは決して考えてはいけない。
黒子役に回って発言を遠慮することには何のメリットもない。
いかなる役割分担に回ろうとも、自分を前に出すという意識は忘れてはならない。
グループディスカッションは強気な自信が必要
さて、新卒の就職活動をしていた当時の私はエントリーシートと筆記試験での選考を通過し、グループディスカッションに臨んだ。
誰もが恐れおののく有名な外資系コンサルティングファームの受験である。
私は採用担当の社員に名前を呼ばれると、1万円の交通費をもらった。
地方のFラン大学に在籍していたので、交通費が支給されたのだろう。
しかし1万円では、往復したとしてもお釣りが来るほどの金額である。
しかも、まだグループディスカッションの段階であり、最終面接試験というわけではないので、仮に私が選考を通過した場合には、さらに交通費の支給がかさむことになる。
つまり、それくらいこの外資系コンサルティングファームは、私を欲しい人材だと認識したのだろう。
周りの受験者はざわついていた。
「あいつは何なんだ。。。この一流企業から、お金をもらっている。。。何のお金なんだ。。。まさかあいつは何かこの会社とコネでも持っているのか。。。くそ、、、あいつはきっとすごすぎるやつだ。。。」
そういう妬みにも似た視線を私はひしひしと感じた。
エントリーシートに、「御社での経験を踏み台にして3年以内に独立する予定なので、御社は私の目標達成における通過点にしか過ぎません」と強気な文章を明記しておいてよかったと思う。
さすが外資系は器が大きいし、面白そうな人材を集めているのだなと実感した。
日系企業であれば、そんな無礼なことをESに書いている時点で「アホ」とみなされて即座に落とされるだろう。
ところが私はそれによって自分の首を絞めることになった。
つまり、私はそれくらい強気な発言をするほどに知識も自信もありふれていて他を圧倒するほどの実力があるのだろうと採用担当者は期待しているからである。
実際の私はそれほど自信があるわけではなく、よく言えば謙虚で礼儀正しい、悪く言えばコミュ障、という部類だった。
しかし私は、「3年以内に独立するほどの価値のある男」を演出しなければならなかったので、ハードルが高かった。
グルディスにおいて圧倒的な自信を見せつけなければならなかった。
グループディスカッションは先手必勝で役割を決めるべき
その戦略系コンサルティングファームでのグルディス開始に先立ち、アイスブレイクの自己紹介が行われた。
面接官は、「出身大学名、在籍大学名は絶対に言わないでください」と事前に釘を刺してきた。
なるほど、最近の面接では大学名は見ていないというのは本当だったのか、と思った。
しかしエントリーシートの時点で大学名で選考しているはずだし、ほぼ大学名で決めているに違いないくらいに周囲の応募者は頭が良さそうだった。
そして、お題が告げられた。
テーマは「東京のオフィス街でランチボックスを成功に導く出店場所とその金額」だった。
これは明らかに不利だ。
おそらく私以外は東大生であり、私だけFラン地方大学という立場では、そもそも「東京のオフィス街」とか知らないし、「ランチボックス」みたいなオシャレなものを食べたこともない。
そして私が困っているうちに、アレヨアレヨと「私が司会をやります」「では私はホワイトボードに書記を行います」などと、強引であるが実にスムーズに各々は役割を決めていく。
しまった、私は何も役割がない。
私はチラと面接官の方を見ると、面接官が何かをメモしていた。
おそらく、そうやってリーダーシップをとって、周りの流れを邪魔しないように自然に役割分担をしていく力のある受験生へのポイントを付与したのだろう。
これはまずい。私はまだ0ポイントだ。
そして、役割のないものも、その頭の良さを生かしたフェルミ推定をふんだんに発揮し、具体的な出店場所と金額、メニューなどを理論的に語っていった。
何か私も言わなければならない。。。よし、ちょっとさっきの発言に不備があったような気がするから、それを指摘しよう。。。
すると、「いや、今はブレーンストーミングの段階なので、まずは他人の意見を否定する時間ではありません」と司会者からツッコミを食らった。
しまった、お手つきだ。
私は面接官の方を見た。
私にツッコミをした司会者にポイントを付与し、私のポイントを減点したに違いない。
これで私はますます自信をなくし、その場の雰囲気に飲まれるばかりだった。
できる男である雰囲気を醸し出すことが重要
このままではいけない。
私は周りの意見にへらへらと相槌を打つだけの人間に成り果ててしまった。
「御社を踏み台にする」とのビッグマウスはどこに行ったのだ。
面接官からのツッコミが入っているような気がした。
しかし私はここで気付いたのである。
なぜ私がこんなに萎縮しているか。
それは私に自信がないからである。
一方、周りのこの自信の溢れる様子は何だ。
ツッコミどころのある発言であっても、堂々と説得力のある雰囲気で語っている。
そして面接官の態度。
背筋がピンとしており、足を組んで我々の議論の様子を見守る様。
あらゆる自信を身にまとった、すごそうな雰囲気を出している。
そうだ。雰囲気だ。すごそうな雰囲気を出せばいいのではないか。
確かに、私はそれまで、相手の素性がどうなのかを検証しないうちから、その雰囲気だけに圧倒されていた。
相手は堂々としているし、きっと私よりもすごいのだろうと勝手に高い壁を作っていたのである。
であるならば、私も他者を圧倒するようなその雰囲気をまとえば勝てる。。。
私のそのグルディスの中で、ついに成功の鍵を見つけたのである。
そこからの私の雰囲気はすごかった。
まず、猫背をやめて、堂々と椅子の背もたれに平行になるように、椅子の座面から垂直になるように、背筋をピンと伸ばした。
そして、軽い笑みを口に浮かべた。
そしてその口から何を発言したか。
発言することをやめたのである。
そもそもこれを議論することに何の意味があるのか。
この場で議論したところで何も生まれやしないではないか。
実際に現場で弁当を売ったこともない奴らが、机上の空論をかざしている。
その様子に、下界の人間の必死さを嘲笑ってしまった。
ずっと私が発言しないのを気にして、司会者が「ダーヤスさん、何かこれについてご意見はありますか?」と発言を促してきた。
普通の人間であれば、ここで焦って何か付加価値のあるようなことを言うだろう。
しかし私は「ありません」と堂々と突っぱねた。
普通の人間なら、この場でこんな空気を読めない発言をする自信も才能もないだろう。
しかし今の私は違った。
それまで私には役割がなかったが、私はある役割を獲得したのである。
「超越者」だ。
その部屋内には、司会者、書記、タイムキーパー、役割なしの平、面接官、そして「超越者」、という役割分担ができていた。
私はハーバード流交渉術に記載された、「バルコニーからの視座」を手にいれた。
まるで神が下界を俯瞰するかのように、私は私を客観視している。
そしてその場で起きていることを達観した気持ちで人ごとのように眺めている。
議論がどうなろうと知ったことではない、というこの超越的自信。
コンサルには自信溢れる雰囲気が重要であると聞いたことがある。
面接官の心に、私の自信の物凄さがひしひしを刺さっているのを感じていた。
満ち溢れる強いオーラを感じ取り、手元のノートに私へのポイントを次々と加算しているに違いない。
最低点だった私は一曲に最高得点取得者に返り咲き、群を抜いて高得点を獲得しているに違いなかった。
私は全てを超越した。
あの雲の上の存在のような戦略系コンサルティングファームですらこの程度なのだ。
私はもっと上を行く。もはや恐れなどない。
この超越的自信。
そしてグループディスカッションが終わった。
議論は収束していた。
しかしそんなことはどうでもいい。
私は議論の方向性とかそういう次元の人間ではないのだ。
確実に受かった。。。。
私は会社を出るなり、ガッツポーズをした。
後日、お祈りメールが届いたことはいうまでもない。